良い認知症ケアとは?

良い認知症ケアとは?

良い認知症ケアとは?

なんでもやってあげるというのは、良い認知症ケアとは言えません。

 

介護や看護は必要になることが多いですが、身の回りのお世話だけやっているのは、暴力や抑うつ状態などを悪化させてしまう原因になることもあります。

 

こういった周辺症状は人によって出方が違います。それを左右するのは、介護者との関わりや生活環境が大きいです。良いケアのポイントは、認知症の方の人格や個性を尊重して、できる範囲で自分の力で生きてもらうように支えることです。

 

暴力や徘徊などの周辺症状があらわれると、家に閉じ込めてしまったり、束縛してしまったほうがいいと考えるかもしれませんね。しかし、無理に押さえつけると行動は抑えられても、本人の人格崩壊を招いて介護拒否をしたり、抑うつや不安が大きくなったり、幻覚症状があらわれるリスクが出てきます。症状が悪化してしまうと、寝たきりになってしまう可能性もあります。

 

押さえつけるのではなく、人格を尊重してできる限り好きなように生活してもらい、問題があるときにはサポートできるように準備しておくことが大切です。このようにいうと介護者がヘトヘトになってしまいそうですが、できるだけポジティブに考えれば介護者の負担を減らすことができます。

 

例えば「徘徊行動で困っている」と考えるのではなく「リハビリになって良い」などとプラスに受け止めるようにすると、心の負担が減ります。暴力は厄介ですが、これも行動の裏にどんな気持ちが秘められているかを知ることで、相手に一歩歩み寄れるチャンスになることもあります。

 

本人が冷静なときにじっくり話を聞いてみたり、怒りながら話していることの内容を客観的に分析してみることで、過去にあったことが原因だったとか、現在の人間関係や生活環境への不満が見つかることもあります。暴力症状は、いってみれば激しい自己表現です。うまく自分を表現できないとしても、何もしゃべらずに殻にこもってしまった状態よりも心理状態を探りやすいです。

 

認知症ケアに良いからといって、音楽療法やアニマルセラピー、アートセラピーなどを勧めるのは必ずしも本人の喜びにつながらない場合があることも知っておきましょう。確かに、認知症のリハビリには歌を歌って脳を鍛えたり、自己表現をしたりといったことは有効です。そのため、デイサービスなどの介護施設でも取り入れられていますし、医学的な根拠もあると認められています。

 

しかし、歌を歌うのがあまり好きではない人に無理に音楽療法を勧めるのは、本人の人格を無視した介護になっている可能性が高いです。人前に出るのが嫌いな人に「歌った方がいい」というのは嫌なことを無理にやらせていることです。楽しんで歌える人ならいいですが、そうではない人にとっては音楽療法が苦痛な時間に変わってしまいます。

 

なので、何か認知症療法を試してあげたいというときには、本人が好んでできそうなものを選んであげることが大切です。歌は苦手でも折り紙を折るのが好きという人なら、それでも脳は鍛えられます。園芸も良いですし、動物が好きな人ならアニマルセラピーが適しているでしょう。

 

良いケア療法だから試すというのではなく、本人の性格や個性を尊重してあげるオリジナルのケアを考えてあげることが必要です。本人が楽しんで、積極的に取り組んでいるようならば、それが適した療法になります。ギャンブルなど経済的な問題を与えるものは勧められませんが、それ以外であれば没頭して取り組んでいるならリハビリ効果が期待できる可能性が出てきます。

 

認知症ケアでは、距離感も大切です。認知症の人と介護者との良い関係を築くのに役立つと言われているのが、心理学的接近法です。ケアするときに本人にとってプラスの存在になることが、介護者に求められることです。プラスになるといっても、すべて命令通りに従うというのでは、本人にとってプラスになりません。

 

まず重要なのが、介護者が認知症や介護ケアの正しい知識を持つことです。病気の本質を知ることで、自分が何をしてあげられるのか、逆にしないほうがいいことはあるのか、などがわかってきます。知識だけでは現実に対処できませんが、まずは知識を身につけておくことで余裕を持って病気に対応しやすくなります。

 

そして、優しさを持って接することが重要です。「なぜ自分がこんなことを言われなければならないのか」と理不尽になることもあるでしょうが、これは病気がそうさせているのだと割り切って対応していくしかありません。優しさを持って接していると、相手が心を開いて歩み寄ってくれる可能性も高くなります。

 

あとは臨機応変な対応力も大切です。「絶対にこうではないといけない」と考えてしまうと、介護は辛くなります。しかし「少しくらいは人と違ってもいいや」という考えに変えると気持ちが楽になります。介護者本人が柔軟な考え方を身につけて、臨機応変に対応できると介護もスムーズになるでしょう。